バーンインソケット テストソケットで各種デバイスの製品評価・電気的特性・信頼性試験における課題を解決

ICソケット・技術情報

ICソケットとは

2021.05.18

1.ICソケットとは

ICソケットとは、ICの電気的特性確認や信頼性評価を行うことを目的とした、ICとプリント基板を電気的に接続するためのツールです。多数のICの特性評価を繰り返し行えるよう、抜き差しが可能な仕様となっています。

 

 

またICソケットは大きく2つに分けることができます。ひとつはいわゆる汎用品で、SOPパッケージやDIPパッケージなど様々なPKGに対応した一般消費者でも購入ができるICソケットです。この汎用品は誰でも扱いやすく安価であり、常温の評価ボード上でICの動作を確認する際などに使用されるものです。

そしてもうひとつは、厳しい試験環境で使用されるカスタム品のICソケットです。汎用品は既に出荷されたICの評価に使われますが、このカスタムのICソケットは、ICの製造工程でのスクリーニングなどの目的で使用されています。このように一口にICソケットといっても使用する目的・環境によって様々なものが存在するのです。

なお、ふたつ目に紹介した、ICの製造工程で採用されているカスタムのICソケットは、大きく、①ICを高温のストレス環境下に置き、さらに電圧や信号を印加してICの初期不良をスクリーニングするために用いられる バーンインソケット と、②半導体・デバイスの電気的特性を検査して、その仕様を満たしているかのファイナルテストを行うために使用される テストソケット の 2つに分類することができます。

バーンインソケットとテストソケットについては、それぞれ詳しく解説を行っているので、ぜひ下記もご確認ください。

バーンインソケット

テストソケット

 

 

2.ICソケットにおける課題とその解決策

 いわゆる汎用品については、ICのパッケージに合ったソケットを基板に接続し、ICをソケットに差し込めばほぼ目的を達成できますが、ICの製造工程で使用されるカスタムICソケットは、様々な課題が山積しています。
ここではICソケットが抱える課題にはどのようなものがあるか、そしてそれを乗り越えるための解決策(ソリューション)にはどのようなものがあるのかを解説致します。

①発熱

 特にバーンインソケットは試験中にICが熱暴走を起こさないよう、まずはシミュレーションを行った上で、ヒートシンク・ヒートパイプによる放熱、あるいは個別温度コントロールシステムにて発熱トラブルを回避します。

②大電流

 前述の発熱とも関連しますが、ICに対して大電流を流すとIC自体が発熱し、熱暴走を起こす可能性があります。大電流を流しても熱暴走を起こさないよう、ヒートシンクや複数のピンを用いて放熱を促す必要があります。

③高周波

 CPUやGPUなどのICは高速動作を行うため、ICの電気的特性を検査するためのテストソケットも高周波対応することが求められます。この場合、良好なインサーションロス・リターンロスが得られるコンタクトピンの選択が必要です。

④耐久性

 ICの製造工程で繰り返し使用されるICソケットには当然ながら耐久性が求められますが、特にコンタクトピンの先端部はめっき剥がれやはんだ転写が発生しやすくなります。そのため、テスト環境に応じてコンタクトピンのめっきやコーティングの仕様を吟味することが必要です。

⑤操作性

 ICソケットはICとピンの確実な接触が必要なためかなりの押圧力が必要となり、通常のICソケットの場合はICの抜き差しに時間がかかり操作性が低下します。こうした場合は軽い力でも十分な押圧力が得られ、かつ開け閉めを容易にできるハンドル押圧タイプやてこの原理を応用したベイル機構を備えたソケットを選択します。

⑥自動機対応

 量産工程では、ICソケットへのIC挿入は自動機によって行われます。従って、設計者・開発者が手でICをセットするソケットではなく、自動機対応のICソケットを準備することが必要です。

⑦接触安定性

 ICソケットは、高温環境下で電源ONの状態にしたり、あるいは電気的特性を検査するため、ソケットによりICとコンタクトピンを繰り返しの操作でも安定して確実に接触させないと測定不良を起こします。この接触安定性を向上させるためにはICソケットの構造はもとよりコンタクトピンの形状・めっきの最適化が必要です。

⑧異物混入

 センサは電気的特性検査に加えてセンサ部の試験も必要になりますが、この際、センサ部に異物が混入しては検査が成り立ちません。こうした場合は異物混入を回避できる専用のセンサ用ICソケットを選択します。

⑨汎用性

 基本的にICソケットは、ICのPKG種類・PINピッチ・厚みなどによって都度カスタム製品を製作することになるため、コストが上昇しがちです。その場合は、ユニット交換だけで別PKGに対応できるICソケットや、PKGの厚み違いでも対応できる調整機能付きのICソケットを選択します。

⑩多ピン

 ICの高機能化に伴い、多ピン化・狭ピッチ化が進んでいるため、それに応じて高価なコンタクトピンを多数採用しなければならなくなった結果、大幅なコスト上昇を招いてしまいます。こうした場合は多ピン専用のソケットを採用して接触信頼性を確保しながらも、安価かつ要求スペックも満足するコンタクトピンを選択します。

⑪コスト

 ICごとにカスタム製品を立ち上げることが多いバーンインソケット・テストソケットはやはりどうしてもコストが問題になりがちです。コストを低減する方法としては、より安価なフレーム製作方法、より汎用的に使用できるソケットなどの選択肢の中から、ご自身のICに適用できるものを検討します。

 

 

3.最良のICソケットを選定するために

特に製造工程で使用されるカスタムのICソケットの選定・仕様確定にあたっては、そのICソケットを用いてどのような環境下で、どんな試験項目を満足させるのか、つまり達成すべき目的を明確にする必要がありますが、それと同時に、想定される課題に対して、実際カスタムICソケットのメーカーはどのようなソリューションを展開しているかを把握しておくことも重要です。

ICソケット ソリューション.comを運営するエンプラス半導体機器では、バーンインソケット・カスタムソケットにおける各種ソリューションを特徴と共に紹介しておりますので、ぜひ下記からご確認ください。

 

ソリューションの一覧はこちら

同じカテゴリーのICソケット・技術情報

一覧へ戻る